JackWolf in Life

#1歴史と原点
野生の狼の皮膚のように、
厳しい環境から身を守るウェアを

創業は1981年、ドイツ中部にある都市フランクフルトにて産声を上げた。
創業者のウルリッヒ・ダウズィンは根っからのア ウトドアーズマンであり、9歳のときにボーイスカウトに入り、大学生になるとヨーロッパ各地をはじめ、インドやネパールなどへ冒険旅行へと出かけるなど活発な青春時代をすごしている。彼はまた、生まれながらの起業家でもあった。

フランクフルト大学の在学中には、校内にあった生協向けに英国や北欧などから輸入したバックパックやテント、寝袋などを学生でも手に入れやすい価格で提供するビジネスを始めている。さらに’79年には、それまで主流だったシリアスなクライマーや登山者向けの店とは一線を画するバックパッキング専門店「SINE(ズィネ)」を設立。2年間で13のフランチャイズ店を展開するほどに大成功させている。

’81年の夏、そんなダウズィンに転機が訪れる。
それは、友人とふたりで出掛けたカナダ北西部を流れるユーコン川でのカヌートリップに出掛けたときだった。彼らは流域に点在する先住民の村に滞在しながら、鮭漁を手伝っていたのだが、野生熊との不運な遭遇から眉に大きな怪我を負ってしまった。仕方なく怪我が治るまで村で治療を受けていたとき、新しいアウトドアブランドのコンセプトを思いつく。それこそ現在のジャック・ウルフスキンの原形であり、彼は「自分たちに必要なのは、狼の毛皮のように厳しい環境から身体を守りながら、しなやかで快適なアウトドアウエアやギアだ」というアイデアを具現化していく。

こうして始まったブランドは当初、たんに狼の皮革を意味する「ウルフスキン」という名でスタートする。
しかし、動物の死骸を連想するなど誤解が多かったためすぐ にジャック・ウルフスキンと改められる。その名の由来は、ダウズィンが愛読していた米国人作家ジャック・ロンドンにちなんだものであった。ロンドンの執筆した『野性の呼び声』や『白い牙』は、19世期末に勃発したゴールドラッシュに触発されて向かったアラスカでの金鉱探しの経験をもとにしたベストセラー小説である。彼の作品を原作にした映画は過去5度にわたり制作されているのだが、この春には名優ハリソン・フォードが主人公ソートンを演じる最新作『野性の呼び声』が全国の劇場で公開されている。

#2製品をつくる環境
持続可能な製品作り、
それを実現するための環境作り

ダウズィンがジャック・ウルフスキンを始動した’80年代初頭は、米国を発端にしたアウトドアブームが世界的に巻き起こった時代であった。
数日間にわたるバックパッキングやカヌートリップへと出かけ、都会の喧噪から逃れて休日をすごそうという気風が高まっていったのだ。いまでは当たり前のことのようだが、昔の登山用具は大変重く、一般の人たちのだれもがテントを担いで山に登ることは難しかったのだ。時代の流れに乗って、ジャック・ウルフスキンも急成長を遂げ、ドイツ国内で抜群の知名度とトップシェアを誇るまでに成長した。

同社製品の魅力は、欧州ブランドらしい独特のカラーリングや、登山やアウトドアのみならず旅行や日常生活でも活躍する汎用性の高さにあるだろう。
実際に東京吉祥寺で長年にわたりジャック・ウルフスキンの専門店「ウルフハウス」を運営してきた依田昌弘さんは、20年以上前に購入したポロシャツやTシャツでもほとんど伸びることなく着続けることができるほど耐久性が高いと話す。そうした経験を持つ人も多く、そろそろ生地が傷んできたからと、同様の製品を買いに来ることが少なくないそうだ。’90年代に作られたバックパックの修理を依頼されることが多いのも特徴だという。

サステナブルな製品作りにも積極的に取り組み、ブルーサインをはじめとした認証機関とのパートナーシップも締結している。
興味深いのは、強制給餌された水鳥や生きたまま採取された羽毛を使っておらず、RDS(レスポンシブル・ダウン・スタンダード)に基づき、第三者機関で認証を受けたダウン素材のみを使用している。いっぽう、独自の防水透湿性素材「テキサポール・エコスフィア」については、開発期間に2年をかけて実現した世界初の100%リサイクル・マテリアルを原料にした防水透湿性メンブレンが使われている。メンブレンだけでなく、フェイスファブリックや裏地ライニングにも、もちろん100%リサイクルした素材を採用しており、サステナブルな製品づくりを徹底している。ドイツにある本社建物でも、太陽光発電によるエネルギーシステムと低圧ボイラーによる100%グリーンエネルギーを使用しており、地元産の天然素材やリサイクル可能な部材を使うなど環境への負荷を軽減したオフィスに仕上げられている。

環境に配慮しながら、耐久性に富む製品作りを行なうジャック・ウルフスキン。 デザインにおいても普遍的な魅力にも溢れているからこそ、愛着を持って使い続けるユーザーが多いといえるだろう。